鬼酒時雨 (feat. 桃箱)

宵を越せ酒時雨さかづき乾く間もなく
連夜酒作雨杯長盈
部屋の隅見つけたあの娘靜かに手酌をしている
內室一隅只見那女孩兒宛自靜酌
酔いどれて唐紅
幾杯下肚醺然醉裡映唐紅
誰彼構わず肩組み喉鳴らし聲嗄らし
不問何人皆作好兄弟清流過喉竭盡聲吼唱
今は笑おうそれだけでいい
今宵只消坦然笑
旅烏は今日も西へ東へゆらゆらり
天涯浪客東奔西走今依舊逍遙悠然無定所
風の心地を追ってただ吹き抜けるだけ
心緒隨風於萬物間流轉卻留不下一點痕跡
宿屋の娘は今日も出迎え見送りてんてこ舞い
客棧小妹切然相迎惜相送今依舊難掩心中情
一夜の戀もきゅっと飲み幹してしまいましょう
朝夕露水之情深嘆一杯釋於懷
遠回りもするだろう空回りの日もあるさ
迂迴曲折會有時徒然度日也有時
だけどいつも胸を張れれば弱り目にも當たり目
尚請不忘昂胸存坦蕩否極也會喚泰來
骨が折れてしまっても心は折れないから
縱然身骨可斷心志屹然不由折
鬼が出ようが蛇が出ようが
千客萬來問前途有何路牛鬼蛇神紛至沓來來不拒
萃えや萃え
萃然也萃然

三日三晩女房は旦那の帰りを待って呑む
三日三晚婦人買醉苦待夫君歸
一升瓶空になり涙で満ちていく
一升瓶空卻了淚复盈滿之
木枯らし吹いた夜どなたか知らぬが宿を借り
寒風凜冽深秋夜路遇人家不知是何處，但且借一宿
頂く鍋と熱燗心が火傷してしまうよ
那一口溫餚與熱酒下肚燙傷了心頭

行き違いもするだろう擦れ違いの日もあるさ
分道揚鑣會有時失之交臂也有時
だけどいつも顔を上げてりゃ泣面も末広がり
請君不忘昂首望前路苦盡會有甘來時
鼻水を垂らしても文句は垂れないから
縱然涕零落不言牢騷辭
鬼の目にも光る涙ぐっと零さず
厲鬼怒目裡淚也盈滿卻是禁而不潸然
勇めや勇め
勇哉也勇哉


呼び起こせ酒時雨二軒隣まで響く
喚來酒作新雨聲響徹旁鄰
はやし立てて音頭を取って
調起拍子引歌頭
行く人らも立ち止まる
匆匆行人駐足聽
酔いしれて唐紅
醺然醉裡映唐紅
座敷に亂れ咲く花その一つ遠目に愛で
席上百花開繚亂淡然猶憐此間一點紅
今は笑おうそれだけでいい
此刻只消坦然笑
今は笑おうそれだけでいい
此刻只消坦然笑
今は笑おうそれだけでいい
此刻只消坦然笑